1997 年 38 巻 1 号 p. 25-33
兵庫県南部地震によって神戸地域の河川護岸に多数のクラックが生じた。それらのうち, 低角度クラックは周辺地盤の運動を反映している可能性があることで注目される。低角度クラックはその形状, せん断ずれの有無によって5つのタイプに分類される。そのうちの4タイプは河川延長方向のせん断ずれを伴い, ほかの1タイプはずれを伴わない。低角度クラックの成因は一様ではなく, 断層運動の影響が認められるクラックもある。しかしながら, 地盤運動, 地形, 砂層モデル衝撃実験の観点などから見て, クラック発生の主要な原因は表層に対する表層下地盤の相対的移動量が大きかったという足払い型運動にあると推定した。