応用地質
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TBM掘削特性によるトンネルHSP探査の解釈評価
飯酒盃 久夫津久井導水路現地適用実験グループ
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1997 年 38 巻 3 号 p. 104-117

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抄録
建設省土木研究所と民間企業11社で開発されたトンネルHSP法は, 調査結果報告までの迅速性・経済性が1つの特徴であり, TBM等による急速施工の場合はとくに優位な探査法である。本報告は, 津久井導水路への適用実績から, HSP探査結果とTBM掘削特性との関連性について検討している。
調査を実施した津久井導水路は神奈川県北部に位置しており, 総延長約5, 200mのうち4, 836mがフルシールドタイプTBM (掘削径5, 400mm) で掘削が実施された。坑内に分布する地質は, 新第三紀中新世愛川層群よりなり, 概して堅硬な火山砕屑岩類と堆積性砕屑岩類より構成される。
HSP探査は基本的に設計Dパターンの手前で計13回実施したが, ここでは断層破砕帯と層面断層が出現した第1回目の探査結果を取り上げている。本探査の結果では, 反射波群が8か所で認められ, 断層破砕帯位置で最も明瞭なイベントとして検出された。また, TBM掘削特性については, 純掘進速度・総推力・トルク・掘削電力量と岩盤分類等との関係から, 総掘削エネルギーと岩盤の耐掘削性について密接な関連性が存在することを述べている。
岩盤の耐掘削性は, 微妙な岩質強度, 岩種や不連続面の密度, 方向性, 性状等の複雑な地質的要因を総合的に網羅しており, ほかのTBM機械データとともにHSP探査結果をかなり忠実に反映することが判明した。
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© 日本応用地質学会
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