1999 年 40 巻 1 号 p. 25-35
稲田花崗岩のインタクトおよび100℃, 200℃までの高温履歴を有する供試体の透水係数をトランジェントパルス法で最大約26MPaまでの有効応力条件において測定した. また, 水銀庄入式ポロシメーターによる内部空隙の測定結果を用いて, 各種等価管路モデルでその透水係数を推定し, 実測値との比較検討を行った.
稲田花崗岩は温度が高いほど, 透水係数が大きくなり, 200℃供試体の透水係数はインタクトな供試体のそれの約3.2倍となった. これは温度上昇によるマイクロクラックの新たな発生に起因するものである. 有効応力が大きくなるにつれ, 透水係数は小さくなり, かつ, 16MPa以上では透水係数に及ぼす高温履歴の影響がほとんど認められなくなる.
稲田花崗岩の空隙率および空隙寸法分布を用いて, 動水半径モデルで推定した透水係数は実測値とほぼ一致した. キャピラリーモデル, マーシャル確率論モデルおよびジャンーホルツ確率論モデルによる透水係数の推定値は実測値と大きく異なったが, 透水係数~履歴温度関係曲線の傾きについて両者がほぼ一致した.