応用地質
Online ISSN : 1884-0973
Print ISSN : 0286-7737
ISSN-L : 0286-7737
高温履歴を有する稲田花崗岩の透水係数と等価管路モデルに基づく評価
林 為人高橋 学
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 40 巻 1 号 p. 25-35

詳細
抄録

稲田花崗岩のインタクトおよび100℃, 200℃までの高温履歴を有する供試体の透水係数をトランジェントパルス法で最大約26MPaまでの有効応力条件において測定した. また, 水銀庄入式ポロシメーターによる内部空隙の測定結果を用いて, 各種等価管路モデルでその透水係数を推定し, 実測値との比較検討を行った.
稲田花崗岩は温度が高いほど, 透水係数が大きくなり, 200℃供試体の透水係数はインタクトな供試体のそれの約3.2倍となった. これは温度上昇によるマイクロクラックの新たな発生に起因するものである. 有効応力が大きくなるにつれ, 透水係数は小さくなり, かつ, 16MPa以上では透水係数に及ぼす高温履歴の影響がほとんど認められなくなる.
稲田花崗岩の空隙率および空隙寸法分布を用いて, 動水半径モデルで推定した透水係数は実測値とほぼ一致した. キャピラリーモデル, マーシャル確率論モデルおよびジャンーホルツ確率論モデルによる透水係数の推定値は実測値と大きく異なったが, 透水係数~履歴温度関係曲線の傾きについて両者がほぼ一致した.

著者関連情報
© 日本応用地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top