応用地質
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情報通信技術を活用した地すべり総合管理手法の開発
岡本 隆松浦 純生浅野 志穂松山 康治
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2002 年 42 巻 6 号 p. 386-393

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抄録

静岡県の由比地すべり防止区域は, その直下に高速道路や鉄道といった重要な保全対象を多く抱えている. そのため, 地すべり対策工事の概成後も長期的視野に立った地すべり地の維持・管理が必要とされている. そこで近年著しい発達を遂げているネットワーク技術や地理情報システムを活用した地すべりの総合管理手法を開発した.
本手法は地すべり地の挙動を監視する自動観測システムを軸としている. システムを構成する複数の装置は目的に応じて現地や関係機関に設置され, それらがネットワークで相互に結ばれている. そのため遠隔地の機関においても常に最新の地すべり挙動を把握することができる. 一方, 地すべりにおける膨大な地質調査や対策工事に関する情報を一元管理するため, 本自動観測システム内に地理情報システム (GIS) が導入されており, GISの抽出, 重ね合わせ機能を用いて最適避難ルートを探索するなど, 既往の情報を有効活用することができる.
なお, 本自動観測システムは平成13年度より由比地すべり防止区域において正式稼働を開始している.

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© 日本応用地質学会
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