応用地質
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イラン北西部の地すべり地における1m深地温探査法による地下水脈の推定
古谷 元竹内 篤雄ショアエイ Z.ギャヨミアン J.田中 英幸
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2002 年 43 巻 2 号 p. 66-74

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抄録

イランでは数多くの地すべりが発生しているが, その誘因のひとつに地下水の関与が指摘されている. しかしながら地下水の流れに関する十分な調査研究が行われていない. 筆者らは1997年と1998年にイラン北西部の半乾燥地域におけるいくつかの地すべり地で流動地下水の水温と1m深地温の測定を行った. とくに, Barikan地すべり地では1m深地温探査を実施し, 地下水脈の推定を試みた. そしてこの地すべり地内外に存在する湧水や河川水の水質分析をし, 地下水脈の推定結果の妥当性について検討した. 得られた結果は以下のとおりである. Alborz山脈のいくつかの地すべり地で1m深地温と地下水の水温を測定した結果から, イラン北西部において1m深地温探査を適用することが可能である. ただし, この探査の実施不適用期間については日本の場合と異なるので今後検討する必要がある. 1m深地温探査をイランで初めて本格的に実施されたBarikan地すべり地では, 5本の低温ゾーンが存在する. 湧水点の位置や水質分析結果から, この地すべりの地すべり土層内にある地下水脈がこれらの低温部を形成したと推定される. さらに, 地すべり地に影響を与えている地下水は地すべりブロックの背後にある段丘から供給されていると考えられる.

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