2002 年 43 巻 4 号 p. 216-225
時代の異なる段丘堆積物中の砂岩礫を用いて, 35万年間における風化による砂岩礫の物性変化速度を検討した. 間隙率, CT値といった物理的風化指標値, 引張強度値, ならびにゲータイトの生成量を反映する色彩値のb*値は, いずれも風化継続時間の前半 (0~120ka) での変化量が大きい. 一方, 間隙の連結程度を反映する平均間隙径と, ヘマタイトの生成量を反映する色彩値のa*値は, 風化継続時間の後半 (250~350ka間) での変化量が大きい. また, 比表面積と化学的風化指標値は, 350ka間を通じて一定の変化率を示すことがわかった. この結果から, (1) 物理的風化指標値および力学的風化指標値の時間的変化パターンは互いに類似し, 風化継続時間の前半における変化量が大きいこと, (2) ヘマタイトの生成ならびに間隙の連結程度の増加は, 風化継続時間の後半でより顕著になること, (3) 化学的風化指標値の時間的変化は, 比表面積の増加率に規制され, 350ka間の変化率が一定であることが明らかとなった.