応用地質
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シリカコーティングによる有害元素の流出防止に関する基礎的研究
西山 孝方堂 毅山田 将巳別所 昌彦
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2003 年 43 巻 6 号 p. 390-395

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抄録
環境破壊には種々の原因があるが, 酸性排水の流出や, それらに含まれる有害物質による事例が数多く報告されている. そこで, 本研究では, 有害物質が溶出する危険性のある粒子表面を化学的に安定なシリカでコーティングすることによって, 恒久的に溶出を防止する方法を提案した. コーティング材には, 安価で埋蔵量が豊富な珪藻土を溶解させた非晶質シリカを用いた. よく知られているように, 非晶質シリカの溶解度はpHにより大きく異なり, 強アルカリ性領域で溶解度は大きいが, pHを漸次減少させると, 溶解度は急激に減少し, 多量のシリカが沈殿する. この現象を用いて, 旧松尾鉱山の廃石試料をコーティングした. その結果, アルカリ性領域においてシリカ溶液を撹拝させると, 試料の表面全体にシリカコーティングが施されることが明らかとなった. つぎに, コーティング処理をした試料について溶出試験を行ったところ, 未処理の試料ではFe, Asがそれぞれ約280ppm, 約6ppm溶出していたのに対して, pH9あるいは11のシリカ溶液を用いてコーティングした試料では, いずれも溶出量が10ppm以下,0.1ppm以下となり, 環境基準値を下回った.
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© 日本応用地質学会
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