応用地質
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斜面地形形成による河川縦断曲線の変化とその特徴
黒木 貴一福塚 康三郎野口 貴至
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2006 年 46 巻 6 号 p. 311-319

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抄録

河床高度や河床勾配は斜面の地形形成を考えるうえで重要な地形要素である. 大分県日田市前津江地区を対象に, 空中写真で地形を判読するとともに, 河川縦断曲線および河床勾配の縦断曲線を作成した. この結果から地すべりなどの斜面崩壊地形と河川の地形形態との空間関係を検討した. 前津江地区では195か所の斜面崩壊地形を判読でき, それらは低標高部に多い尾根移動型, 中間的な標高帯に多い末端凹凸型と崖錐型, 高標高部に多い頂部凹凸型に区分できる. 河川縦断曲線の凸の曲線区間は, 規模の大きい斜面崩壊地形の崩落堆により河床の高まった場所に対応する. 河床勾配の縦断曲線は, 崩落堆が河川に影響を与えている凸の曲線区間を, 河川縦断曲線よりも多く明瞭に示せる. したがって, 河川縦断曲線上の凸の曲線区間を調べることで斜面崩壊の影響範囲を簡便に推定できると考える. さらに河床勾配の縦断曲線を作成することにより, その影響範囲をより明瞭に示すことができる. またGISソフトと地理情報を使用して, 短時間で河川縦断曲線などを描画できた.

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© 日本応用地質学会
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