応用地質
Online ISSN : 1884-0973
Print ISSN : 0286-7737
ISSN-L : 0286-7737
地球史における環境変化と21世紀の環境問題
大野 博之村尾 彰了
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 47 巻 1 号 p. 40-49

詳細
抄録

地球は誕生してからこれまでの45.6億年間, 常に環境が変化してきた. このことは, これからも環境は変化し, 場合によっては, 人類が生存できないような環境変化が起きうる可能性も示唆している. とくに, 人為的な環境変化だけは避けたいという観点から, 最近, 環境問題への取り組みが盛んになっている. こうした環境問題は, 同時に, 食料やエネルギーなどの資源問題でもある.
応用地質学に携わるわれわれは, これまでものづくりに関することや防災には多くの力を注いできたが, 環境問題にはそれほど多くの力を注いできたとは言えないのではなかろうか. 本論では, 地球史における環境変化をベースに, 現在の環境問題にわれわれがEngineeringとしてどう対処するべきかを微力ながら考えてみた. そこでいえることは, 複数の手 (専門) を持ったうえで確たる理念・倫理観を持ち, (1) 対象の近傍 (near-field) だけでなく広域 (far-field) も含めた階層的なスケールで問題に対応すること, (2) 十年程度の時間 (short-term) だけでなく, 数百年程度の時間 (long-term) も考慮に入れて問題に対応すること, すなわち, 4次元的な感覚をもつことが必要となることを示した. また, このための方策として, 学会などによる教育活動の推進, 調査・検討・評価内容についての品質の向上と保障のための枠組み作りを進めるとともに, 仕事などを通して自己研鑽を積むべきことを示した.

著者関連情報
© 日本応用地質学会
前の記事
feedback
Top