抄録
一般に, 岩石は自然の浸食や人工的な掘削などによって地表にさらされると酸化され, 結果的に岩石の強度が低下する. このような風化作用を受けた岩石の風化層厚を現場において非破壊, 簡易, 定量的に推定することができれば, 応用地質学および地盤工学などの分野において有効と考えられる.
筆者らは, ボーリングコアなどの岩石あるいは露頭している岩盤の比較的薄い表層の風化層厚を非破壊, 簡易, 定量的に推定する手法を新たに開発するために, 風化した岩石を模擬した4種類の人工風化岩を作製し, それらを用いたエコーチップ反発硬度試験を行った. そして, とくに人工風化岩の風化層厚および風化層と未風化層の反発硬度の比に注目し, 実験的な検討を実施した. 本論では, 最初に岩石あるいは岩盤の表層における風化層厚を評価するための人工風化岩モデルについて説明する. 次に, 人工風化岩の風化層の作製方法および作製された風化層の均質性に関して検討した結果について述べる. 最後に, 人工風化岩の反発硬度と人工風化岩の風化層および未風化層の反発硬度を用いて, 人工風化岩の風化層厚を非破壊, 簡易, 定量的に推定することができる新たな一手法について提案する.