教育情報研究
Online ISSN : 2432-1745
Print ISSN : 0912-6732
状況論的アプローチによるプログラミングの指導と分析 : 認知的徒弟制理論を取り入れたアプローチ
宮田 仁
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 15 巻 1 号 p. 21-31

詳細
抄録

本研究の目的は, 複雑な制御技術を用いる環境で, 思考力をエキスパートの行うような階層的な問題解決過程を通して促進していくことである. 取り上げる学習題材は全自動洗濯機である. その構造と機能をレゴロゴ教材によってシミュレートし, 問題解決にあたる. 学習者の問題解決のための学習活動をデザインするにあたっては, 認知的徒弟制理論を適用した. 学習者が問題解決のための計画を立てるスキルを習得できるように, 12時間の学習活動を計画した. 問題解決能力の育成を評価するために, 学習者の立てたプランとレゴロゴの全自動洗濯機を制御するためのプログラムを分析した. プログラミングの評価の基準は, 学習者が作成したL090のプログラムの階層構造と各プログラムのノードの数とした. そして, 4つの群については, プランニングやプログラム作成過程の質的な分析を行うために, ビデオによる分析もあわせて行った. その結果, 学習者白身の立てた理論や構想を実際に外化したり, 発展深化させることを, 認知的徒弟制理論を適用して行ったことにより, 問題解決のための計画を立てるスキルが, 実際の解決過程の中に行動として実現できるようになった. 12時間の学習活動の後で, 学習者の作成したプログラムは初期に比べて相対的に階層的でよく構造化されたものとなり, 十分に実際の全自動洗濯機の動作機能をモデル化したものとなった.

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top