教育情報研究
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学習者の理解変容に関与する発話分析
塚本 榮一赤堀 侃司
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2001 年 17 巻 1 号 p. 25-34

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抄録

本研究は, 授業中に学習者が感じたことを率直に記載した学習カルテの発話から, 学習過程を把握し授業分析を行うことによって授業改善に役立つ情報を獲得することを最終目的としている.これまで4年間, 毎年約100名の学生を対象に, 情報科学の授業において学習カルテを利用した発話の記録を行い, その結果から授業改善を行うことができた.その知見に基づき, 学習者の発話から理解変容に関与する発話を分析する方略を明らかにし, 理解度成績の上位群と下位群による発話分析から, 両群の差異を分析した.その結果, 「面白い」「楽しい」など授業に対する興味関心を示す発話には両群の間に大きな差はなく, 「使いこなしたい」「便利だ」など機械と学習者の相対的位置関係を表す発話では上位群が有意に高いことが明らかになった.これによって学習カルテによる発話分析から教育評価を行う授業改善支援システムの可能性が示された.

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