大学における一般教育としての情報教育はこれまでパソコンの操作を中心としたコンピュータリテラシーが主流であった.しかし,2003年度から高等学校において普通教科「情報」が実施され,2006年度に当時の高校生が大学に入学してきた.そのため,大学の一般教育段階における情報教育の内容の見直しが迫られているが,筆者らは,コンピュータリテラシーのようなパソコンの操作や知識習得よりも,コンピュータが情報を処理する原理や機構の概念を理解させる教育,特にコンピュータを構成する基本要素である論理回路をはじめとする情報の科学的な理解へ導く教育が必要だと考えている.本論文では,普通教科「情報」の実施前後の高校教育を受けて大学に進学してきた新入生を対象に,論理回路に関する意識と教科「情報」の履修に関する缶ケート調査を行った.その結果,論理回路の学習は論理回路に対するイメージをポジティブにする可能性があることが明らかになった.また現在の普通教科「情報」の履修は論理回路が役立ちそうなイメージを与える反面,複雑そうであるイメージを与える可能性もあることが明らかになった.