抄録
本研究では,教員のICT活用指導力向上のための教員研修プログラム構築に向けた基礎的知見を得るために,小学校教員を対象に調査を行い,教授・学習観とICTを活用した指導,授業実践スタイルとの関連性について検討した.検討に先立ち,授業実践スタイルの因子構造を検討した結果,2因子が抽出され,因子名を「詳細な計画に基づく授業実践」,「学習者中心の探究的な授業実践」と命名した.また,仮説に基づき共分散構造分析を行った結果,「直接伝達主義的教授・学習観」が「詳細な計画に基づく授業実践」に寄与すること,「構成主義的教授・学習観」が「教員によるICT活用」を媒介し「詳細な計画に基づく授業実践」に寄与すること,「構成主義的教授・学習観」が「学習者中心の探究的な授業実践」に寄与すること,「教員によるICT活用」が「児童へのICT活用についての指導」を媒介し「学習者中心の探究的な授業実践」に寄与することが示された.