階層化意思決定法(AHP)を利用した評価法によって, 児童の絵画作品について教師に評価してもらう調査結果を用いて教師の評価構造を定量的に分析した. 従来から行われている10段階の総合評価はAHPによる評価や10個の評価項目についての5段階評価を平均したものとほぼ同じであることが認められた. しかし, 作品によってはそれらの差が無視できないので, 安定した評価が得られるようにAHP評価あるいは平均5段階評価を利用するのが望ましい. 絵画が専門の教師グループの評価大項目の重みはよく一致し, 方法の重みに対して, 内容, 表現態度, 心情的効果の重みは3である. このような評価大項目の重みに近い評価基準で評定している教師は若手とベテラン教師にほぼ半数おり, その割合は教職経験年数には関係がないことが明らかになった.