日本フットケア・足病医学会誌
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特集:マウス動物実験からみたリンパ浮腫
マウスでリンパ浮腫が出現し難いメカニズム
中島 由加里浅野 きみ中谷 壽男
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2021 年 2 巻 3 号 p. 103-107

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抄録
 乳がんや子宮がんなどの手術に伴うリンパ節郭清に起因する二次性リンパ浮腫の詳細な発症メカニズムの解明や根治的治療法の確立は, 今後さらなる増加が見込まれるこれらのがんサバイバーにとって喫緊の課題である. これらの解決のためには, 動物リンパ浮腫モデルを用いた基礎研究が必須であるが, 齧歯類を用いてリンパ浮腫の作製を試みても, 一過性に浮腫が出現するのみで, リンパ浮腫が持続するモデルを作製することは困難である. われわれの知見に基づくと, リンパ浮腫モデル作製によく用いられるマウスの下肢では, 腸骨リンパ節からも下肢のリンパが排泄されているため, 下肢リンパ浮腫モデルを作製するためには腸骨リンパ節郭清も必要である. また, 下肢リンパ浮腫モデル作製のため, 下肢のリンパが通る3つの経路を遮断する目的で, 鼠径・膝窩・腸骨リンパ節郭清を行った結果, リンパ浮腫の所見は得られたものの, 完全にリンパ流は遮断できず, 重症なリンパ浮腫モデルは作製できなかった. マウスでは, リンパ浮腫の発症や重症化を防ぐために, リンパ節郭清後早期に迂回路が形成されており, この迂回路もマウスでリンパ浮腫が発現し難いメカニズムの一つとして考えられる.
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© 2021 一般社団法人日本フットケア・足病医学会
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