抄録
ハンセン病はらい菌による感染症である. らい菌は皮膚のマクロファージやシュワン細胞内に生存し, 早期に治療を行えば治癒する疾患であるが, 適切な治療を受けられない場合には重篤な末梢神経障害が残り, 四肢の感覚障害, 視力障害など, さまざまな症状を呈する. 日本人の発症は年間0~1名であるが, 在日外国人の発症が年間数名報告されている.
ハンセン病による創傷形成のメカニズムは糖尿病足病変のメカニズムとの共通点も多いが,血流障害の原因や易感染性は異なる.また,慢性的な刺激からverrucous carcinomaや瘢痕癌が発生することがある.
強制隔離政策により非人道的な扱いを受けた経験をもつハンセン病回復者は,現在でもハンセン病の既往を家族にも話すことができないことが少なくない.また過去にハンセン病を理由に一般の医療施設での診察を拒否された経験がある場合,専門外来の受診を恐れ,症状が悪化するまで受診を躊躇することもある.
本稿ではハンセン病による足病変の特徴,および本邦におけるハンセン病問題について述べる.