抄録
唾液導管癌は乳癌に類似する予後不良な悪性腫瘍である。近年乳癌と同様に唾液導管癌においてもHER2の発現が報告されているため,今回われわれは手術標本を用いて免疫染色を行いHER2の発現を解析し臨床背景と検討した。その結果,唾液導管癌5例中HER2陽性例は3例であった。病理組織別のHER2陽性率は唾液導管癌で60%,腺様嚢胞癌で0%,粘表皮癌で17%,腺癌で38%であった。また病理学的悪性度による比較ではHER2陽性例は全て高悪性度群に,HER2陰性例は全て低悪性度群に属しHER2の過剰発現と病理学的悪性度との関連が示唆された。HER2陽性唾液導管癌に対する抗HER2抗体を用いた治療法の開発が強く望まれる。