2018 年 27 巻 3 号 p. 261-267
再発を繰り返したのちに遠隔転移をきたし切除不能となった低分化甲状腺癌に対し,チロシンキナーゼ阻害薬であるレンバチニブを使用し延命効果が得られた症例を経験したので若干の考察を加え報告する。
症例は甲状腺全摘術を行い,アブレーションを追加した52歳女性。繰り返すリンパ節再発に対し手術を行っていたが,3度目の再発のとき,手術を待機している間に肺および骨転移をきたし手術不能となり,レンバチニブ投与を開始した。レンバチニブによる治療は奏効し,腹腔内再発で他界するまでの約5か月間は頸部や肺転移の増悪はなく延命効果が得られた。