2 巻 (1992) p. 101-106
頭頸部領域の血管性疾患は稀であり,特に上甲状腺動脈瘤は,我々が検索しえた限りでは1977年のBiglioliらによる報告しかない。 今回我々は,非常に稀な上甲状腺動脈瘤を経験したので報告した。症例は51歳男性で,主訴は左前頸部腫瘤,諸検査(ダイナミックCT・血管造影など)にて動脈瘤と判明,外科的に結紮摘出した。 本症例も含め上甲状腺動脈瘤は2例の,また,部位的に近く症状も同様な下甲状腺動脈瘤は11例の報告がある。これら計13例のうち8例が破裂及び解離を起こし,2例が死亡している。このように破裂及び解離による気管の圧迫が原因で,呼吸困難から死に至ることもあるので,なるべく速やかに外科的に摘出することが必要と思われる。