1992 年 2 巻 p. 49-57
1977-90年に当料で手術を行った甲状腺乳頭癌症例,新鮮例504例・2次例64例を対象に,リンパ節転移の部位・頻度・原発巣との関係などについて分析し,治療上の問題点および予後との関係について検討した。 気管前・傍郭清は新鮮症例454例に施行し,287例(63%)に転移が認められた。 内深頸リンパ節転移は新鮮症例164例(33%)に認められ,特に甲状腺内転移の多発している症例および低分化癌で転移の頻度が高かった。両側の深頸部に転移した症例では,高率に甲状腺の両葉に癌腫を認めた。 予後との関係をみると,深頸部リンパ節転移を認めた症例に遠隔転移あるいは頸部再発病巣の悪性転化による死亡が確認された。