抄録
バラ根頭がんしゅ病抵抗性の発現機構を明らかにするために, Agrobacterium tumefaciensの植物細胞壁への付着に着目し, バラの抵抗性の高低と菌の付着との関係について走査型電子顕微鏡を用いて比較検討した. 無接種区において抵抗性が高い‘PEKcougel’および‘Lifirane’では顆粒物質が多量に分泌され, 植物細胞壁表面が覆われていたのに対して, 抵抗性が低い‘Dukat’, Rosa multiflora‘Matsushima No. 3’およびRosa canina‘Pfänder’では顆粒物質の分泌が少なく, 細胞壁表面が露出していた. 接種区において抵抗性が低い品種では, 菌が分泌する繊維状物質によって菌相互が集団を形成するとともに, 植物細胞に付着した. 抵抗性が高い品種では, 菌が分泌する大量の顆粒物質によって植物細胞壁表面が覆われ, 菌の付着が阻害された. 接種前に加熱して殺した‘PEKcougel’の茎組織に菌を接種した結果, 顆粒物質の分泌が認められず, 抵抗性が低い品種と同様の菌の付着が観察された.