園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
原著論文
ハウス栽培における早生ウンシュウの収量および収量変動に影響を及ぼす要因
橘 温八幡 茂木
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 76 巻 3 号 p. 175-184

詳細
抄録

早生ウンシュウの早期加温ハウス(加温開始:12 月上旬),普通加温ハウス(加温開始:1 月上旬)および慣行の露地において,有機物施与量(敷きわら 1.5 t/10 a/year とその 2 倍量)や施肥量(窒素,リン酸,カリ:27, 22, 24 kg/10 a/year とその 1.5 倍量)を組み合わせた試験区で‘宮川早生’と‘興津早生’を計画密植で栽培した.苗木の植え付け翌年の 3 年生時から 12 年生時までの 10 年間の収量や収量に影響を及ぼす要因について比較検討した.収量や葉面積指数(LAI),花蕾数などの多くの調査項目は,有機物施与量や施肥量が異なっても有意差を示さなかった.早期加温ハウスでは,大きな年次変動や間伐による収量の低下がみられるものの,普通加温ハウスと比較して土地面積当たり収量が優っていることが実証された.‘興津早生’は‘宮川早生’と比較して,第 1 次間伐樹の伐採まで LAI の増大が早く,初期収量がわずかに多い傾向にあった.いくつかの要因と土地面積当たりで表した収量との関係を検討した結果,栽培条件や品種が異なっても LAI が収量に最も強く影響を及ぼす要因であることが明らかとなった.着蕾数の少なかった早期加温ハウスでは,着果率が高く,着蕾数と収量との間にやや強い相関関係が認められた.

著者関連情報
© 2007 園芸学会
次の記事
feedback
Top