2007 年 76 巻 3 号 p. 250-257
9 種のキク科植物における橙色と黄色花色の発現機構を明らかにするために,それぞれの種の橙色品種および黄色品種の花弁における総アントシアニン量,総カロテノイド量およびカロテノイド成分について解析を行った.これらの植物は黄色品種も橙色品種も黄色成分として共通にカロテノイドを含んでいた.橙色品種ではさらに 3 通りの方法によって赤みを加え,橙色を形成していることが明らかになった.キク,ガーベラおよびジニアの橙色花弁は,黄色花弁と比較してより多くのアントシアニンを蓄積していた.ヒマワリ,アフリカンマリーゴールドおよびフレンチマリーゴールドの橙色花弁は黄色花弁よりも顕著に高い濃度のカロテノイドを蓄積していた.キンセンカ,ガザニアおよびオステオスペルマムの橙色花弁はより多くの赤みの強いカロテノイドを蓄積していた.これらの方法を組み合わせることによって様々な色調の橙色を作り出すことが可能であると考えられた.