園芸学会雑誌
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原著論文
サツマイモの生理的反応に及ぼす低酸素短期間処理の影響
今堀 義洋岸岡 泉上村 和子牧田 英二藤原 ひとみ西山 由香石丸 恵上田 悦範茶珎 和雄
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2007 年 76 巻 3 号 p. 258-265

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抄録
サツマイモの生理的反応および品質に及ぼす低酸素短期間処理の影響を調べるために 0%O2 あるいは 0%O2 の連続通気で 20℃下に 7 日間サツマイモを貯蔵した.貯蔵中低酸素障害の兆候や腐敗は観察されなかった.しかしながら,0%O2 貯蔵では可溶性固形物含量が増加し,異臭も感じられた.その異臭の程度は貯蔵中アセトアルデヒドやエタノール含量の増加とともに大きくなった.エタノール含量はアセトアルデヒド含量よりも多かった.アセトアルデヒド含量は貯蔵中 1%O2 と空気貯蔵では低いレベルのままであったが,0%O2 では著しく増加した.ピルビン酸脱炭酸酵素 (PDC) の活性は 0%O2 あるいは 1%O2 では 7 日間の貯蔵で空気貯蔵の 3.1 倍および 2 倍に増加した.アルコール脱水素酵素 (ADH) の活性は 0%O2 あるいは 1%O2 では 7 日間の貯蔵で空気貯蔵の 1.6 倍および 1.7 倍に増加した.ADH 活性は PDC 活性の約 10 倍であった.空気貯蔵のサツマイモ磨砕液の pH は貯蔵中一定であったが,0%O2 では増加し,1%O2 で減少した.PDC は pH 5.5–7.0 の範囲で安定性を示したのに対して,ADH は pH 6.0–7.5 の範囲で安定であった.PDC のピルビン酸に対する Km 値は 0.56 mM であったのに対して,ADH のアセトアルデヒドに対する Km 値は 0.19 mM であった.以上の結果から,低酸素下ではエタノール発酵が進行するものの,低酸素短期間処理は棚持ち期間を延ばす上で低温処理の代わるものとしての可能性がある.
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© 2007 園芸学会
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