抄録
遠心ろ過ユニットを用い,高速液体クロマトグラフィー分析に供試可能な磨砕を必要としない可溶性糖質抽出法の開発を試みた.バラ‘ソニア’花弁を試験管中で 99.5%エタノール溶液に浸漬し 75℃で 20 分間保持した後,内部標準としてソルビトールを添加した.花弁を遠心ろ過ユニットに移し,12000 × g で 10 分間遠心した.ろ過液を移した後,99.5%エタノールをフィルターユニットに加え,再度遠心した.2 回の遠心で得られたろ過液と試験管に残っていた液を合わせ,80℃で乾燥し,HPLC 用試料とした.この方法で得られた糖質含量と従来からの磨砕する方法(常法)で得られた含量との間に大きな差はなかった.また,遠心残渣に含まれる糖質はわずかであることを確認した.バラ‘ソニア’花弁から抽出した試料を −30℃で 1 週間保存したところ,糖質含量は変動しなかったことから,抽出試料は安定であることが示唆された.バラ‘シャネル’,‘ニューブライダル’,‘ローテローゼ’,‘サターン’,カーネーション,デルフィニウムおよびブルースター花弁あるいはがく片の糖質組成に簡易迅速法と常法との間で大きな差はみられなかった.また,カーネーション,デルフィニウムおよびバラ‘ソニア’の葉と茎の構成糖質含量にも簡易迅速法と常法との間で大きな差はみられなかった.以上の結果から,新たに開発した方法は磨砕を必要とせず,本研究で供試した 4 種類の花きのさまざまな器官から可溶性糖質を抽出するための迅速かつ簡易な方法であることが示唆された.