Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
Ca 施用濃度と栽培時期がトマト果実中水溶性カルシウム濃度と尻腐れ果発生との関係に及ぼす影響
吉田 裕一入江 宣行Tran Duy Vinh大山 光男田中 義行安場 健一郎後藤 丹十郎
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2014 年 83 巻 4 号 p. 282-289

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抄録

トマトの尻腐れ果発生に影響する要因を明らかにするため,培養液中の Ca/K 比率(4/12–12/4,me·L−1)ならびに栽培時期が尻腐れ果発生直前の果実先端部の形態別 Ca 濃度と尻腐れ果発生に及ぼす影響について検討した.春季と夏季には培養液中 Ca/K 比が低くなるほど尻腐れ果発生率が高くなったが,冬季には尻腐れ果発生率にはほとんど変化が認められなかった.Ca 濃度は冬季が最も高く,夏季が最も低かった.また,水溶性,NaCl 可溶性,HCl 可溶性のいずれの画分でも培養液の Ca/K 比が低いほど低くなった.3 回の実験結果をまとめて解析した結果,Ca 濃度と尻腐れ果発生率との相関関係は 3 つの画分の中で水溶性画分が最も強かった.急速に成長する条件下では,トマト幼果先端部の水溶性 Ca 濃度が 0.20 μmol·g−1 FW より低くなると尻腐れ果発生のリスクが高くなると考えられる.重回帰分析の結果,果実発育期の気温と比較して日射量と培養液中 Ca 濃度はアポプラストと細胞質中の Ca2+ イオン濃度を示す水溶性 Ca と果実発育期間を通じての総転流量を示す全 Ca の濃度により大きな影響を及ぼすことが明らかになった.

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