園芸学会雑誌
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pH, カルシウム濃度ならびに窒素形態がカンキツの生育, 無機成分に及ぼす影響
ランダワ S.S.岩田 正利
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1968 年 37 巻 4 号 p. 319-327

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抄録
ナツダイダイ実生苗を水耕し, 培養液の pH (4, 5.5,7), カルシウム濃度 (低-20ppm, 中-50ppm, 高-100ppm), ならびに窒素形態 (NaNO3, NH4NO3, Nとしてともに 12ppm) を変え, これらの組み合わせが生育, 無機成分に及ぼす影響を調べた。
葉の外観は両窒素形態とも pH 5.5 では正常だが, pH4ではやや鈍緑色となり, pH 7になると黄緑色がかり, 上葉にクロロシスを生じた。クロロシスは NaNO3 区のほうが著しかつた。NaNO3 区の根は pH 5.5 では白色だが, pH 4, 7では淡褐変し, pH 4 では根長も短く, 側根の先端がふくらんだ。NH4NO3 区の根は一般に褐変し, 伸長も NaNO3 区より劣つた。pH 4では根長はとくに短く, 側根の先端がふくらみ, さらに進むと皮層がほう壊脱落した。この症状は Ca 低濃度区で著しかつた。
地上部, 根の生育とも一般に NaNO3 区のほうが NH4NO3 区よりまさつた。両窒素形態とも pH 5.5 区で最も生育がよく, pH 7 区になるとやや劣り, pH 4 区で最も劣つた。ただし NH4NO3 区では pH 5.5 と pH 7 との差は Ca 低濃度区を除き NaNO3 区ほどはつきりしなかつた。カルシウム濃度についてはNaNO3 区では各 pHとも Ca 中濃度区が最も生育がよかつたが, NH4NO3 区では各 pH を通じての一貫した傾向はみられなかつた。
無機成分濃度について, 葉では一般に NaNO3 区のほうが NH4NO3 区よりも K, Ca 濃度が高く, N, P, Mg濃度が低かつた。一方, 根では NaNO3 区のほうが NH4NO3 区よりも P, Ca, Mg 濃度が高く, K濃度は低く, N濃度には一貫した傾向がみられなかつた。pH を上げると葉では両窒素形態区とも N, Ca, Mg 濃度が増加し, K濃度は減少したが, P濃度には pH による差はみられなかつた。根では pH を上げると両窒素形態とも P, Ca, Mg 濃度が増加し, K濃度は減少したが, N濃度はNaNO3 区でのみやや増加した。Ca 施用濃度を上げても両窒素形態とも Ca 濃度が増加するのみで他成分にははつきりした差はみられなかつた。
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