園芸学会雑誌
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温州ミカンの浮皮に関する研究 (第4報)
果皮内糖組成の季節的変化について
倉岡 唯行岩崎 一男日野 昭金子 陽一辻 博美
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1976 年 44 巻 4 号 p. 375-380

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抄録

1. 池田系普通温州果皮をフラベドおよびアルベドに分け, 3年間にわたって糖含量の季節的変化を分析調査した. その結果, フラベドでは, 全糖, 還元糖および非還元糖ともに9月上旬から増加しはじめ, とくに, 10月上旬から下旬にかけて急激な増加を示した. アルベドでは8月中旬から増加しはじめたが, 増加速度はフラベドよりゆるやかであった. なお, フラベド, アルベドともに, 非還元糖は12月上旬に減少する傾向を示した.
2. 早生温州, ナツダイダイおよびイヨカンの果皮内糖含量の季節的変化も, 普通温州のそれとほとんど同様な傾向を示した. 糖の増加開始期は, 早生温州が最も早く, ついで普通温州, ナツダィダイとイヨカンの順であった. 12月上旬における非還元糖の低下は, 早生温州ミカン以外のすべての品種で観察された.
3. ガスクロマトグラフィによって果皮内の糖組成をみたところ, 還元糖はフラクトースとグルコース, 非還元糖はシュークロースが大部分を占めていた. これら三つの糖含量の間には, 11月中旬までほとんど差がみられなかったが, 12月上旬になるとシュークロースが減少して最も少なくなり, フラクトースとグルコースはフラベドで増加し, アルベドではほとんど変らなかった. フラクトースのほうがグルコースより含量が大であった.
4. 正常果と浮皮果では, 一般に後者のほうが高い果皮内糖含量を示した. なお, 果こう部, 赤道部および果頂部に分けた場合, 果こう部の含量が他より高い傾向を示した.

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