園芸学会雑誌
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ブドウの花穂の発育に伴うサイトカイニン, 光合成および呼吸活性の変化について
新美 善行鳥潟 博高
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1978 年 47 巻 3 号 p. 301-307

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抄録

ブドウ“デラウエア”の花穂の発育と内生サイトカイニン, 光合成および呼吸活性との関係を開花4週間前から開花期まで調査した.
1. 花穂の新鮮重は調査期間中ずっと増加しつづけたが, その含水量は発育初期にピークがあり, 以後開花期前まで徐々に減少した.
2. 花穂の還元糖含量は開花期まで徐々に増加するが, アミノ酸および有機酸含量は発育初期に高い値を示し, 以後開花期まま急激に減少した.
3. 花穂のサイトカイニン活性はブタノールおよび水層の両分画に存在し, ブタノール層のサイトカイニン活性は発育初期から開花期にかけて徐々に増加した. 一方, 水層分画のサイトカイニン活性は発育初期の始めに非常 に高く, その後一時減少するが開花期にかけて再び急激 に増加した.
4. 花穂のクロロフィル含量は発育初期に非常に高く, 以後開花期まで減少した.
5. 花穂の光合成活性は光の強さにともなって増加し, 光飽和点は10Klxであり, 光補償点は非常に高かっ た. 呼吸活性は温度とともに増加した. また, 見かけの 光合成活性は20°Cで最高値を示した.
6. 花穂の呼吸活性は発育初期に高く, 開花期の3~4日前まで徐々に減少するが, 開花期には急激に増加し た. 花穂の真の光合成 (同化量) 活性は発育初期に非常 に高く, 開花期の3~4日前まで減少するが, 開花期に は再び増加した.

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