園芸学会雑誌
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アブラナ属作物種子の発芽に対する温度の影響
徳増 智金田 泉加藤 正弘
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1985 年 54 巻 3 号 p. 364-370

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抄録
アブラナ属作物11種類の種子を用いて, 5, 15, 25,35及び45°Cの5段階の温度で発芽試験を行い, 置床後2時間ごとに発芽種子数を調べ, 種類による発芽のバターンを比較した. 累積発芽率の経時的推移を見ると, 種類によってのバターンは異なるが, 共通した傾向も認められる.
各作物種子ともに, 最も早く発芽を開始したのは35°Cで, 次いで25, 15, 5°Cと温度が低下するにつれて発芽は遅くなり, また, 種類による発芽開始時期の変異幅が大となった. 45°Cでは35°Cと同時期に発芽を開始するか, またそれより遅く, 種類によって異なった.
平均発芽期間は35°Cが最も短く, 25°Cがこれに次いだ. さらに, 作物の種類により15°Cまたは45°Cが続き, 5°Cはいずれの作物でも発芽に最長の時間を要した.
実験終了時における最終発芽率を見ると, 35, 25及び15°Cではいずれの場合も85%以上の良好な発芽率を示した. その他の温度区では作物の種類により発芽率が45°Cのみで低いもの, 5°Cのみで低いもの, また45°C及び5°Cの両方で低いものに分けられた.
以上の結果から, 休眠の覚醒した種子の最適発芽温度は25°Cから35°Cで, これは休眠覚醒途上種子の最適発芽温度が15°C以下であるのに比べて明らかに高い.
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