抄録
リンゴ主産地において, 共通して開花予想ができること, 予想する時期が異なっても同一方法で予想できること, さらに予想時点以後の気象変化に応じて簡単に修正できることを目的として, 12品種のリンゴにおける開花予想の可能性を検討した. その概要は次のとおりである.
1. 当場において発芽日の翌日から開花日までの平均気温と発育速度との関係を見たところ, 両者の間にはどの品種においても非常に高い相関関係が見られた. これらの関係から, 12品種について別々の単回帰式により発芽から開花日までの発育零点と有効積算温量を求めた.
2. 発育零点と有効積算温量により, 当場の過去における各品種の開花日の理論値と実測値を比較したところ, その差の最大値は5日でほとんどがおよそ2, 3日以内の差であった.
3. 当場で得られた発育零点と有効積算温量を使用して, 石川県農業試験場, 長野県果樹試験場, 秋田県果樹試験場及び青森県畑作園芸試験場で開花日の理論値と実測値を比較したところ. 当場の場合とほとんど同様の結果であった.
4. 人工気象室を使用し, 同様にして‘スターキング•デリシャズ’の開花日の理論値と実測値を比較したところ, その差はわずかに1日であった.
5. 以上の結果から, 発育零点と有効積算温量による開花予想法は当場のみならず, 他の地域でも比較的良く適合することが確認された. また, この方法の特徴は発芽日以降の任意の時点で予想が可能であり, しかも, 同一方法で予想時点以後の気象変化に応じ, 迅速に修正が可能である.