園芸学会雑誌
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収穫したキュウリ果実及びカブ肥大根組織における気体の蓄積と圧力上昇
崎山 亮三神保 雅弘今田 成雄
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1986 年 54 巻 4 号 p. 490-497

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抄録

収穫したキュウリ果実及びカブ肥大根を25°C下で2日間不飽和水分条件下で水分が損失するのにまかせ, その後2日間高湿条件に移して水分損失をほぼ抑制した.貯蔵後0, 2, 4日にキュウリ果実の果肉組織, カブ肥大根組織について組織内気体量や気体圧力を測定した.
組織体積当たりの気体占有体積の割合は両器官とも貯蔵2日後にやや低くなった. 気体圧力はキュウリでは低下し, カブではごくわずかに上昇した. 貯蔵2日から4日にかけては気体占有率が急速に高まり, 気体の平均圧力も顕著に上昇した. これらの変化には主に大気圧より0.3bar 高い気体の蓄積が関与していると考えられた.
蓄積した気体は細胞間隙にも認められたが, ほとんど細胞内に気泡として観察された.
キュウリ果実やカブ肥大根では収穫後に, 一度しおれてからしばらくすると一見しおれが認められなくなることがあり, またそれに伴って比重が低下したり, 器官の体積が増加したり, またスポンジ状組織や‘す’の発達が観察されることがある. 細胞内に蓄積する圧力の高い気体はそれらを引き起こす原因とみなしうるものであった.

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