前報のトマトに引続いて, ナス, リンゴ, ナシ, ウンシュウミカン, ナツミカン, ブドウについて, 1G, 2G及び3Gで1時間又は5時間の振動処理を行い, 振動中及びその後の呼吸強度の変化を調査した.
一般的傾向としては, 振動開始後直ちに呼吸強度の上昇がみられ, 振動中は増加し続け, 振動終了後もなおしぼらくは増加し続けた. その後一度低下するが再び上昇した後, 徐々に復元した.
振動強度との関係についてみると, 振動時間が短い場合には強振動で呼吸上昇が大きいが, 時間が長くなると3G振動区ではかえって呼吸上昇が抑制された. このことから, 果実は振動刺激に対して生理的に一定の許容域を持ち, それ以上に強い振動刺激が加わると生理的異常が生じることが推察された.
振動に対する生理的反応の感受性は果実の種類によって異なり, ナスとリンゴでは感受性が高く, ナシ, ウンシュウミカン, ナツミカン, ブドウでは感受性が低いことが推察された. また, ブドウでは熟度の進んだ果実より若い果実で呼吸上昇の程度が大きくなった.
ナシとトマトで, 振動による果実内部空気組成の変化を調査したところ, 炭酸ガス濃度は高くなり, 酸素濃度は低くなった. また, トマトではエチレン濃度の上昇も伴っていた.