園芸学会雑誌
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ハルサザンカの起原に関する細胞遺伝学的研究
IV. サザンカおよびヤブツバキ間の浸透交雑
田中 孝幸
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1988 年 57 巻 3 号 p. 499-506

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抄録
この研究では, 4倍体ハルサザンカ‘凱旋’および5倍体ハルサザンカ‘望郷’の実生群の染色体を調べることにより, 前報までに推定したハルサザンカ品種群の成立過程の実証的裏付けを得るとともに, 紅花サザンカの起源についても推定した.‘凱旋’の実生は, 親株附近の植生により, 3倍体, 4倍体および5倍体に分離した. 親株の回りにヤブツバキが多い時には3倍体に, サザンカが多い時には5倍体に実生の倍数性が傾いたことから, 3倍体および5倍体の実生は, それぞれヤブツバキおよびサザンカが交雑して生じたものと考えられた. 一方, ‘望郷’の実生の染色体数は, すべて異数体で, 2n=79から86の間にあり, これは, サザンカの花粉がかかったためと考えられた. このことは, 一度サザンカが戻し交雑をすると, その次の世代からも同じ親と主に戻し交雑を操り返すことを暗示し, 紅花サザンカの成立起原は, ハルサザンカを経由してヤブツバキの Anthocyanin遺伝子がサザンカに浸透したものと推定した.
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