園芸学会雑誌
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東洋系メロンの形態的, 生態的および生理的差異に基づく分類
細木 高志石橋 章広北村 均甲斐 伯彦浜田 守彦太田 敏彦
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1990 年 58 巻 4 号 p. 959-970

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抄録

東洋系メロンの系統的な分類体系を作るため, 生態型の異なる32種類のメロンが, 日本, 中国, 台湾および南アジアから集められ, これらの形態, 生態および生理的特徴が調べられた.
形態的差異に関して, 葉柄の刺の基部は日本種が最大で南アジア種が最小であった. 葉の気孔密度と葉縁の欠刻程度も南アジア種が最小であった. 種皮の内層の数は日本種では2, 3またはこれらの混合型であり, 中国種ではほとんどが2層, 南アジア種ではすべて2層であった. 生態的差異に関して, 水分ストレスに対する抵抗性は南アジア種が他の地域のメロンより強かった. また低温に対する抵抗性は, 日本種がもっとも強かった. 生理的差異に関して, 南アジアのすべてのメロンで種子発芽時に4本の明瞭な酸性フォスフォターゼアイソザイムバンドが検出された. 中国や日本種のいくつかのメロンは, 4本のバンドのうち1~2本が薄いか欠けていた.葉のフェノール様物質組成は南アジア種のいくつかで他の地域のメロンとやや異なっていた. 果実の糖に関して, 多くの中国種と日本種ではしょ糖を含んでいたが, 南アジア種ではそれを欠いていた. また中国種の半数と南アジア種の多くのメロンには, 日本種にない糖 (未同定) を含んでいた. 南アジア種の種子の休眠は深く, 日本種と中国種の多くは浅かった.
他の調査項目を含む26形質を用いてクラスター分析にかけたところ, 南アジアのすべてのメロン, 数種の中国メロン, シロウリおよび雑草メロンは一大グループに属した. 多くの中国種とすべての日本種 (シロウリを除く) は別の1大グループに属した. こうした結果より,日本のメロンは中国でいくらかの育種過程を経てから導入され, シロウリや雑草メロンは中国であまり変化を受けずに, または直接南アジアから入った可能性が示唆された.

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