園芸学会雑誌
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ロードヒポキシス (Rhodohypoxis baurii var. platypetala NEL.) の開花に及ぼす温度の影響
森 源治郎坂西 義洋
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1990 年 58 巻 4 号 p. 993-998

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抄録

1. ロードヒポキシスの自然環境下における生育開花習性を明らかにするとともに開花に必要な温度条件及び栽培時の温度•日長の影響について調べた.
2. 春から秋にかけての生育期間中に20数個の花序が仮軸分枝の繰返しにより形成された. これらのうち8月上旬までに分化した20前後の花序は, いずれも第1小花が雌ずい形成段階に達するまで発育した後, 枯死した. これらに対し8月中•下旬以降に分化を開始し, 生長点膨大期から第1小花が雌ずい形成期に達した直後までの各段階で越冬した4~6花序だけが開花に至った.
3. 球茎の萌芽及び形成された花序が開花に至るためには低温経過を必要とする. この低温を自然低温にたよる場合, 大阪では2月上旬までの低温遭遇を必要とすることが分かった. 恒温室を用いた実験結果では15及び20°Cでは18週間処理しても全く開花しなかったが, 10°Cでは16週, 6°Cでは12週処理で正常に開花することが認められた.
4. 必要な低温条件が満たされた後は20~30°Cで萌芽が促進され, 35日前後で開花したが, 15及び10°Cの開花はこれらよりそれぞれ1, 4か月遅れた. また, 低温区では株当たりの開花花序数及び展葉総数が少なかった. 栽培時の日長は開花までの日数及び開花花序数にほとんど影響を及ぼさなかったが, 短日 (8時間日長) 区の葉総数は長日 (16時間日長) 区の約1/2で少なかった.

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