園芸学会雑誌
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シャクヤク品種の, 形態的特徴および花弁中のフラボン•フラボノール組成の差異に基づく新しい分類方法
細木 高志瀬尾 光弘浜田 守彦伊藤 克浩稲葉 久仁雄
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1991 年 59 巻 4 号 p. 787-793

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抄録

シャクヤク類の品種の新しい分類基準を作るため, 形態および生態的特徴13項目が計測された. 各項目の数値は5段階に分けられた後, 多変量解析により品種間の類似度が求められ, グループ分けがなされた. また各品種の花弁中のフラボン•フラボノール物質の分布パターンの類似度も求められグループ分けが行われた. Paeonia officinalis に属する品種はいずれの方法でも同一のグループに属した. P. lactiflora の品種は多変量解析の結果から他のグループに分けられ, 日本品種と洋種品種はさらに小グループに分けられた. 植物分類学上, 近縁の P. obovataP. japonica は多変量解析の結果からも, もっとも近い関係となった.
以上の結果から, 形態および生態的データに基づいた多変量解析や花弁中のフラボン•フラボノール物質の類似度パターンは, 従来の花形だけの分類では不可能であった起源不明のシャクヤク品種の位置づけや近縁関係を知るうえの手がかりになるものと思われる.

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