本研究はカキ品種'宮崎無核','渡沢','清洲無核','無核次郎'および'無核'の種子形成と染色体数を調査し,種子の発育不全と染色体数との関連を明らかにしようとした.
1.'宮崎無核','渡沢'の果実からは完全種子は得られなかったが,不完全種子が得られた.また,'清洲無核'の果実からは完全および不完全種子のいずれも得られなかった.一方,'無核次郎'と'無核'の果実には1果当たり平均3個程度の完全種子が含まれていた.
2.'宮崎無核'の不完全種子には発育程度の異なった胚があり,それらの胚は培養後も発育に差異がみられ,発育不良のものが多かった.これに対し,'無核次郎'の未熟果から採取した胚は培養後の発育は良好であった.このことは,'宮崎無核'の胚の遺伝子型が'無核次郎'のそれとは異なっていることを示した.
3.'宮崎無核'と'渡沢'の成木の染色体数は2n=135で,培養胚はすべて2n=107~114の範囲にある異数体であった.'無核次郎'と'無核'の成木の染色体数は不明であるが,自然受粉による胚は2n=90であった.これらのことから,'宮崎無核','渡沢'の両品種も,'平核無'と同様,カキの種内倍数体であることが示され,これら無核品種における種子の発育不全は倍数体に基づく染色体数行動の異常と密接に関連しているように思われる.これに対し,'清洲無核'は2n=90であるが種子を形成しない.その原因は倍数性以外によるものと思われる.