園芸学会雑誌
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アンコール (Citrus nobilis × C.deliciosa) を種子親に用いた交雑実生におけるやくの退化の分離
山本 雅史奥代 直巳松本 亮司
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1992 年 60 巻 4 号 p. 785-789

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抄録

カンキツにおけるやくの退化性は,ウンシュウミカンの細胞質を持つ品種を種子親にした場合にのみ出現するとされてきたが,'アンコール'を種子親にし,数品種を花粉親とした交雑実生群においてもやくの退化性を示す実生が出現することが明らかになった.
'アンコール'を種子親に用いた場合,ポンカンを花粉親とするとやく退化性の実生は出現しなかったが,'ミネオラ','マーコット'および'セミノール'を花粉親にした時には,それぞれ61個体中8個体,43個体中10個体および26個体中7個体はやくが退化していた.清見'×'アンコールレの約半数の実生はやくが退化していた.これらの結果から,やく退化性の遺伝子に関して,ポンカンは優性ホモ,'アンコール','ミネオラ','マーコット'および'セミノール'は,ヘテロであると推定できた.また,'ミネオラ'の遺伝子型は分離比から見て他のヘテロ品種とは異なるのではないかと思われた.
謝辞本稿のこ校閲をいただいた大阪府立大学教授河瀬憲次博士に感謝の意を表します.

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