園芸学会雑誌
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ミツバの香気の特性ならびにその香気特性に及ぼす栽培培地と品種の影響
阿部 一博崎元 道男宮崎 昭雄
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1994 年 62 巻 4 号 p. 903-908

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抄録

ガスクロマトグラフィーや官能検査によりミツバの香気の特性を調べるとともに, 香気の生成量に及ぼす栽培培地 (土耕栽培もしくは養液栽培) や品種の影響を調べた.
ミツバのヘッドスペースガスをガスクロマトグラフィー (検出器FID) で分析したところ, 12個のピークが検出され, 保持時間 (以下RT) 4分30秒のピークNo. 7が最も大きかった. 分取ガスクロマトグラフィーと官能検査の併用によりピークNo. 5とNo. 7の成分がミツバの香気に寄与することが明らかとなった.ピークNo. 7のガスをGC-MSで分析したところ, クリプトテネンと推定された.
官能検査では土耕栽培のミツバの香気は最も強いと評価され, ついで濃い培養液で養液栽培されたミツバの香気が強く, 薄い培養液で栽培されたミツバは最も弱いと評価された. ガスクロマトグラムにおいてもピークNo. 7は土耕栽培ミツバが最も高く, 薄い培養液で養液栽培されたミツバが最も低かった.
異なった6品種のミツバにおいてもピークNo. 7が高い品種は官能検査においても強く感じられたが, 香気の質的な違いはみられなかった.

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