抄録
日本, 韓国および中国の野生ブドウ, ならびにブドウ栽培品種を用いて, RFLP解析およびRAPD解析を行った.リボゾームDNAの非転写スペーサー域の配列をプローブにしたRFLP解析の結果, 供試した種および変種は, 個体によって若干の差異はあるものの, それぞれ固有のバンドパターンを示した.5種類のプライマーを用いたRAPD解析の結果はUPGMAによって解析し, フェノグラムを作成した.24点の野生ブドウと16点のブドウ栽培品種は一部の例外を除いて大きく2つのクラスターに分かれた.ブドウ栽培品種の中では, Vitis labruscaとV. vinifera(東洋系および西洋系)がそれぞれのクラスターを形成した.甲州は東洋系V. viniferaのクラスターに含まれたが, RFLP解析では他のV. vinifera品種にない2本のマイナーなバンドをもっていた.