園芸学会雑誌
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ニホンナシ'豊水'のみつ症発生に及ぼす被袋, 炭酸カルシウム剤処理及び果実 : 外気温の差の影響
猪俣 雄司八重垣 英明鈴木 邦彦
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68 巻 (1999) 2 号 p. 336-342

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抄録

ニホンナシ'豊水'のみつ症の発生と果実蒸散との関係を検討するとともに, みつ症の発生を抑制することを目的に炭酸カルシウム水和剤(クレフノン)散布について検討した.'豊水'の果実にポリエチレン袋を被袋した場合, 対照区の果実と比べてみつ症の発生は増加した.炭酸カルシウム剤を散布した果実の表面の温度は, 対照区の果実より低く, 炭酸カルシウム剤の散布は果実の蒸散を促進したと考えられた.一方, エテホンを散布した果実は, 果実の表面温度が高く, 果実の蒸散を抑制したと考えられた.'豊水'の果実にエテホンを散布した場合, みつ症の発生は促進された.一方, 炭酸カルシウム剤を散布した場合ではみつ症の発生は抑制され, 特に, 満開2週間後から2週間間隔で合計8回の散布がもっとも効果が高かった.しかし, この方法は, 収穫果の果実表面に炭酸カルシウム剤の白い粒子の残留が認められた.そのため, 収穫時に果実表面の炭酸カルシウム剤の付着がほとんど観察されない, 満開2週間後から2週間間隔で合計5回散布が良いと考えられた.処理濃度については, 1%液よりも3%液の方が効果が高かった.炭酸カルシウム剤処理による果実品質への影響は, ほとんどなかった.以上のことから, 炭酸カルシウム剤の散布は果実の蒸散を促進し, その結果としてみつ症の発生を抑制したと考えられた.

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