園芸学会雑誌
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エチレン処理したウンシュウミカン (Citrus unshiu Marc.) 果皮におけるクロロフィル代謝 : クロロフィル a 酸化分解酵素について
高橋 芳弘前田 義志倉田 裕文東 理恵下川 敬之足立 勝
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69 巻 (2000) 5 号 p. 641-645

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抄録

エチレン処理したウンシュウミカン果実の果皮より調製した粗酵素液中に, クロロフィルaを分解する酵素が存在することを明らかにし, この酵素反応にはH2O2とp-クマル酸が必要であること, 至適pHは酢酸緩衝液で4.0であること, タンパク質量に対する反応量は60∿180μgまでほぼ直線的であること, Km値はクロロフィルaに対して26.1μM, p-クマル酸に対して103.6μM, H2O2に対して184.2μMであることを示した.またこの反応が, チロン, Mn2+, ヒドロキノン, アスコルビン酸, n-プロピルガレート, シアン化カリウム, アザイドにより阻害されることから, フリーラジカル, O2-の関与が示唆された.C132-ヒドロキシクロロフィルaがクロロフィルaの主たる分解産物として検出されたが, 分解量に比して, その生成量は少なかった.反応液のUV/VISの差スペクトル変化をみると, 赤色領域のピークおよびソーレー帯のピークが同時に減少しており, このことから, クロロフィルaはクロロフィル-ポルフィリン環の開裂を起こして分解していくものと思われた.無色蛍光クロロフィル代謝産物(FCCs)の生成は, 2, 4-ジクロロフェノール(DCP)を用いることによって確認されたが, p-クマル酸を用いた場合には認められなかった.以上のことより, クロロフィルaは, C132-ヒドロキシクロロフィルaや, FCCsのような中間体を蓄積せずにクロロフィル開環代謝産物へと分解されることが示唆された.

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