園芸学会雑誌
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リンゴ, セイヨウナシ, オウトウおよびカキの果実肥大最盛期における 13C 光合成産物の 2 年生枝間転流
山本 隆儀
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2001 年 70 巻 2 号 p. 170-177

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抄録
果実肥大最盛期の3年生枝において, 1本の2年生枝から他の枝へ転流する光合成産物のおおよその変動範囲を見出すため, リンゴ, セイヨウナシ, オウトウおよびカキ各1品種(成木)を用いて以下の実験を行った.各品種とも着生器官の構成比率が異なる8本の3年生枝に, 光条件(2段階)と13CO2施与枝の位置の違い(基部枝と先端枝)を任意に組み合わせ, 各3年生枝内の1本の2年生枝に13CO2を6回に分けて施与し, 第1回目施与から72時間後(第6回目施与から44時間後)に, 同一3年生枝内の他の全ての枝に転流した13C量の割合を調査した.その結果, 13C量の割合はオウトウでは約2.5∿27%, セイヨウナシでは約5∿29%, リンゴでは約0.5∿16%, およびカキでは約0∿31%と用いた3年生枝によって大きく異なった.自然光下に置いた場合あるいは基部枝に13CO2を施与した場合, ほとんどの樹種で個々の2年生枝へ転流した13C量の割合とその枝の着生果実数との間に正の相関が認められた.しかし, 遮光した場合あるいは先端枝に13CO2を施与した場合, ほとんどの樹種で有意な相関は認められなかった.個々の2年生枝へ転流した13C量の割合と, その2年生枝内の果実あるいは葉へ転流した13C量の割合との相関を調査したところ, オウトウとセイヨウナシでは果実, リンゴでは果実と葉, カキでは葉において, 高い正の有意な相関が認められたが, カキの果実では有意な相関が認められなかった.
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