モモ果実は軟化に伴って,大量のペクチンが水溶化する事が知られているため,水溶化したペクチン物質の解析を行った.過熱果および未熟果の粗細胞壁から水溶性分画を得,イオン交換樹脂にて,3つの塩濃度(0, 0.1および0.5 M NaCl)により分画した.その結果,未熟果では2つ(I,II),過熱果ては3つ(I, II, III)に分画することができた.イオン交換カラムに吸着された多糖中(分画IIおよびIII)にペクチンが存在すると考えられるため,これをゲルろ過カラム(Sepharose CL-4B)にかけ分子量分布を調査した.その結果,分画IIIは,分画IIより分子量が高かった.また,糖組成分析を行ったところ,IIではアラビノース(40-48%)とガラクトース(30-40%)が主要な中性糖であるのに対して,IIIでは中性糖の65%以上がアラビノースであり,両者は,性質の異なる多糖であると考えられた.