Pangani川流域の水位低下評価は, この地域が農業に適した条件ばかりか水力発電に適した条件をも備えているため, 重要である. 水位低下が経験される乾季に, Nyumba ya Munguダム上流域では, 水資源を灌漑に用いるべきか, 発電に用いるべきかというコンフリクトが発生する. 貯水池に流入する2つの川, すなわちRuvu川とKikuletwa川の内, 前者においてより高い水位低下頻度が経験される. Q70(日平均流量の累積分布で30%に当たる値)をいき値として用いた渇水評価においては, Kikuletwa川の渇水量及び, 渇水持続期間の方がRuvu川のそれらよりも大きかった. POT解析(peaks over threshold analysis:いき値超過ピーク解析)は, この流域の水位低下と渇水の特性を評価する上で信頼できる結果を提示した. この解析では, Q-Qプロットや平均超過値プロットが, POT解析で当てはめるべき極値分布の選択や, 解析に用いるいき値の設定において有用であった.