18 巻 (2005) 3 号 p. 281-292
人間活動が水循環に与える影響を評価する目的で,タイ王国最大の流域面積を持つChao Phraya川流域を対象に,貯水池操作が流況に与えた影響について検討を行った. Chao Phraya川流域は100億m3以上の多目的ダムを二つ有す. しかし,1995年までは厳密な運用方法は無く,経験的に貯水池操作を行っていた. 現在では,貯水池水位の上限と下限が決められ,その間に入るように操作されている. 特に乾期(1月から6月)においては,灌漑のために政府によって厳しいルールが決められている.
本稿ではこのような貯水池操作によって下流の流況に与えた影響を示した. その結果,ダム直下では特に顕著な流況の変化を捉えた. さらに,FFTを用いたスペクトル解析の結果,下流の日流量は3.5日や7日といった短い周期特性を持つことがわかった. これは貯水池からの日放流量のスペクトル特性と一致したことから,貯水池運用が下流へ多大な影響を与えていることを明らかにした. このように,大規模な人間活動が水循環へ多大な影響を与えていることを示した.