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水文・水資源学会誌
Vol. 19 (2006) No. 1 P 17-24

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http://doi.org/10.3178/jjshwr.19.17

原著論文

密植により林床が裸地化したヒノキ林流域において,降雨流出時に発生する地表流の流出特性および形成機構を明らかにすることを目的に,恒常水流のないヒノキ林小流域を対象とし,水文観測およびトレーサー解析を行なった.総降雨量120.4mm,最大降雨強度3.8mm/5minの降雨イベントにおいて,総流出量15.7mmの地表流が観測された.地表流の流出ピークは降雨ピークとほぼ同時に発生し,流出の応答がきわめて速い特性が示された.降雨ピーク時における地表流の電気伝導度およびCl-濃度はきわめて低い値を示し,降雨イベント成分が地表流に大きく寄与していることが示唆された.電気伝導度およびCl-をトレーサーに用い,土壌水成分,地下水(パイプ流出水)成分,降水成分を3つのEnd memberとし,地表流の成分分離を行った.その結果,地表流に占める降雨イベント成分の割合は,24%から82%と推定され,とくに降雨強度が2mm/5minを越える場合のそれは59%以上と,顕著に高い値を示した.以上の結果から,本研究において観測された地表流は,とくに降雨強度が高い条件下においては,降雨強度が浸透能を超過することにより生ずるホートン地表流によって形成されていることが示唆された.本邦における山林の状況を考慮すると,このような現象はより普遍的に発生している可能性があり,今後より詳細な検討が必要である.

Copyright © 2006 Japan Society of Hydrology and Water Resources

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