水文・水資源学会誌
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原著論文
温帯ヒノキ林における分光反射指標PRI(Photochemical Reflectance Index)の季節変動
中西 理絵小杉 緑子大久保 晋治郎西田 顕郎小熊 宏之高梨 聡谷 誠
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2006 年 19 巻 6 号 p. 475-482

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抄録

温帯ヒノキ林におけるPRI(Photochemical Reflectance Index)の日変化・季節変化を明らかにし,群落の光合成の光利用効率(LUE)の指標としてのPRIを評価することを目的とした.樹冠スケールの地上観測から,PRIとLUEを算出した.PRIの季節変化には,夏から秋の成熟期に高く,春の展葉期と冬の褐色葉期に低くなる傾向が認められた.また,日変化に関しては,春と夏には晴天日の強光時にPRIが低下し,秋の適光適温期には,晴天日でも低下せず,冬は一日中低い傾向が見られた.このような季節および日変動の特性には,ヒノキの葉がフェノロジーの影響を受けて,各季節において光強度に対してどのように熱放散システムを働かせるかが大きく関係していることが示唆された.PRIとLUEとの関係では,LUEが大きく光依存することの影響を取り除きデータを晴天時に限ると,年間を通じて概ね直線関係が見られる結果となった.

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© 2006 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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